フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記 -4ページ目

フィリピン長期インターンをしている日本人が、これから来る日本人インターンに、伝えたこと

フィリピンで長期インターンをしている日本人が、

これから来る日本人インターン二人と、

スカイプ越しでMtgを持ちました。

 

Mtgのアジェンダは

「フィリピンに来る前に、何か聞いておきたいことはありますか?」

 

だいたい下記のことが、渡比前の予想とは異なっているようです。

 

・生活は、フィリピン人スタッフが親切に対応してくれる。

・最初の2週間はお腹壊してた。自分に合う薬は持ってきた方がいい。

・日本人スタッフは男性しかフィリピンにはいない。仕事上でそこまで日本人とからむことはないのであまり問題はない。

・フィリピン人スタッフの男性は、ストレートが少ない。

・女性上位な社会。そういうところも含め、異文化体験。

・仕事は基本的に、異文化理解ができないと成果を出せないことが多い。

・寮の男性部屋は1室のみで、10-20人部屋。ただし寮の男性のほとんどはストレート。

・洗濯は手洗い。外に洗濯屋さんもあるが持っていくのが面倒。特に雨季なので乾きやすい衣類がオススメ。

・シャワールームは激混み。男性のはあまり綺麗ではない。

・寮では勉強は難しい。オフィスで仕事前や後に勉強している。遅くなったとしても、寮とオフィスの間はシャトルが1時間おきに出ている。便利かつ安全。

・寮のwifiは遅い。土日はそこに行ったりする。

・フィリピン人スタッフと運動する機会は多いので、運動する服装、運動靴があると、フィリピン人と仲良くなりやすい。

・折りたたみ傘は必需品。1日にゲリラ豪雨が何回かある感じ。
・最初2週間は大変だったが、いまは慣れた。

・来てよかった。フィリピン人の友達がたくさんできたのがうれしい。優しい人たちばかり。

(加藤コメント: 学生時代の異文化成功体験が、社会に出てからどれだけグローバルに活躍できるかを決める一要素だと思っている。フィリピン人は日本人にとって、最も異文化成功体験を積みやすい相手。)

首を折らずに鼻を折る

このブログは2005年から書き連ねている。

その頃僕は、戦略コンサルティングファームで働きはじめたところで、

ちょうど根切りを迎えていた。

 

「自分はいま価値ゼロだな」と感じる。

そして自分が嫌になる。

学生時代、商学部のゼミで今と同じようなことを2年間もやったつもりなのに、

いざコンサルの仕事に取り組んでみれば、そんなの屁でもない。

目的に一致していない、データソースが明確でない、裏づけのファクトが十分でない、

そんなアウトプットばかり連発している自分がいる。

ぜんぜん役に立っていない。

 

今日も、結局、僕が20時間かけて中途半端に終わった作業を、

先輩のコンサルタントが2時間でちゃっちゃっと仕上げてしまった。

 

速くて、

深くて、

網羅的で、

正確。

 

その先輩が自分に悪意を持っていないことはわかっている。

今になりようやく、自分が何のアウトプットも生み出せていないことに気づきはじめた。

根切られている自分がいる。

 

この根切り、戦略コンサルに限らず、

不要なプライドが成長を阻害しているときには必要だと思う。

 

才能のある子なんかは特に、根切りしないともったいない。

それをうちの社内では、根切りとは言わず、「鼻を折る」と言う。

 

しかし一方で、レアジョブは働きやすい場所、というか、

ひとりひとりのあり方を大事にする会社だ。

 

鼻を折るのは大事な一方、首まで折ってしまうのはレアジョブではない。

首まで折ってしまうのは、たぶん、ブラックな会社だろう。

鼻を折るときに愛情を感じさせられなければ、

鼻だけではなく首まで折れてしまう。

 

首まで折らないようにするためには、

愛情だけでは不十分で、

愛情を感じさせるスキル、

折る程度範囲を決めておくスキル、

そういったものが必要だ。

 

鼻を折らずに首を折るスキル。

 

社内でしっかり言語化したいなと思う。

態度変容を促すには接触頻度が鍵

法人営業部門に最近入社したスタッフと話をしていた。

 

彼女が言っていたのは、

オンライン英会話事業における、いい法人営業というのは、

お客様のマインドセットを変えられる営業だという。

 

「まずはお客様(人事担当者)と信頼関係を築くことが大事」

「そのあとは、人事担当者の方が、やらされ仕事としてオンライン英会話を導入することのないようにコンサルティングできないといけません」

「お客様の会社の経営課題を解決するために、適切な目的・目標・対象・頻度を設計するよう、お手伝いをします。」

「さらにいうと、受講する社員の方のマインドセットも変えなければいけません。日本にいながらにして日本人でも英語が話せるようになるのだと、納得していただかないと。」

 

彼女は同時にこうも言った。

 

「営業の現場で説明して、人事担当者の方にご納得頂いた感触があって、

 でもそのあと実際の研修内容への落とし込みになると、

 『十分にはわかっていただいてはいなかったのか?』

 と残念に思うケースが時々あって、非常に悔しいんですよ。」

 

それに対して、僕はこう言った。

 

「態度変容を促すためには、接触頻度がとても大事」

「ロジックを1回伝えただけで、態度ががらっと変わり、実行までやりきる人は、世の中では少数派。」

「起業家とかイノベーターだと、1回の接触で十分」

「でも大多数の人はそうでない。1回聞いたときはまだ納得していても、そのあとに他の人の話を聞くとまた影響されて振り戻っちゃう」

「だから何回も伝えなきゃダメ」

「1回じゃいけない。でもうざがられちゃいけない」

「だから接触量ではなく、接触頻度。まめにコンタクトできるかどうか」

 

これは別に法人の人事担当者に限らないと僕は思う。

社員を育てていく上でも、

他部署を説得する上でも、

いわゆる「キャズムを超える」でも、

まったく同じ。

 

脳神経の特定回路に、様々な文脈で同じ刺激を何回与えたかどうかだ。

ロジックなど接触の質だけでは不十分だ。

接触頻度の方が重要なことがほとんどだ。

起業家精神というものは

起業家精神というものは、母校に寄付金集めるスキームつくりあげるときにも有効、

という話を母校の先輩から聞いて、なるほどなぁ、と思った。

 

・何を寄付金集めの目玉にするか

・誰からの許可をどう取るか

・どう告知してどう拡散するか

・事務作業をどうやりきるか

・いざとなったら身銭を切ってでもやり通すか

・でも継続して回るよう、体制を築くビジョンを持てるか

 

加藤

経営においては正解はなく, 自分が明確に出した答えを徹底できるかだけだと思います。

お師匠さんから勇気をもらった。

経営においては正解はなく,

自分が明確に出した答えを徹底できるかだけだと思います。

明日も頑張ろう。

マネジメントする人をマネジメントするとき

あなたは部長になりました。

新米課長3人をマネジメントしなければいけません。

そしてその課長はそれぞれ、部下として社員を7人、
マネジメントしなければいけません。

 

さあ、あなたならどうする?

 

・・・みたいな状態は、

大企業だと50代になってもなかなかないが、

ベンチャー企業ならば30歳前後ではよくある話だ。

 

では、そのときに何をすべきか。
ちょっとまとめてみた。

 

・組織の大小はともあれ、マネジメントで結局大事なのは、
 目標設定と、達成度合いの評価と、実行中のフォローアップの三つ。

・目標設定で大事なのは三つ。

・一つは、会社にとって意味のある目標になっているということ。目標設定を部下に丸投げする人もいるが、それは、「僕はいらない人です」と言っているに等しい。
・二つ目に大事なのは、目標を持つ本人が「この目標ならば7割がた達成できるだろう」と思えるかどうか。新米課長と社員の間のミーティングに、目標設定のときだけは参加することが望ましい。
・二つ目は、個人目標だけでなく、組織で目標を追っていると思えるかどうか。

・達成度合いの評価で大事なのはひとつ。
・ひとつは、期末だけでなく、期中でも達成度合いを追えているかどうか。
・月次達成度合いよりも週次、週次よりも日次で達成度合いがわかった方が、
 当然PDCAサイクルはぐるぐるまわる。
・これさえ押さえていれば、期末の評価のすりあわせだって簡単なはず。
・だから、新米課長が状況を数字で追えているかを確認することが吉。

・最後に、実行中のフォローアップで大事なのは二つ。
・ひとつは、新米課長が社員とどのような定例ミーティングを設定しているか、確認すること。
・「困ったらいつでも相談しに来い!」という課長には、本当に困るまで社員は相談しに行かない。
・「毎日10分はあなたのために時間を使う」と言ってくる課長になら、そのとき一番困っていることをすぐに言える。
・職務やスキルによって必要な定例ミーティングの種類は異なるが、机を並べて働いるのに定例ミーティングがないというのはどこかおかしい。
・そしてもうひとつ大事なのは、課長と社員の言っていることがバラついていないか、何気ない話から常に情報収集しておくこと。

・できないものはできないでしょうがない。だけれども、話が噛み合っていない場合、そこには何か理由がある。

・社員が新米課長に心を開いていないとか、新米課長が不得手なことがあるとか、はたまた、社員そのひとが会社に会っていないとか。
・「?」と思ったら、放置せず、「なんで?」「なんで?」と掘り下げると、後で大きな爆弾を破裂させずにすむ。


以上、全部をきっちりやるのは、部長としてよほど負荷が軽い状態じゃない限り難しい。
しかし、業務遂行や組織向上に有効そうなことから、やってみるのをオススメする。
キックオフミーティングの開催は、一石何鳥にもなるし、
なにより、部長のあなた本人が、仕事が楽しくなると思う。

講師にお金を貸していて思うこと

レアジョブ英会話のフィリピン人講師に、お金を貸している。

 

「家が全焼した」

「洪水で浸水した」

「父親が危篤」

 

講師は4000人もいれば、事情も様々だ。

その全ての要望を聞けるわけではないが、

「ここでお金ないと、人が死ぬ可能性あるだろうな」

という時には貸すようにしている。

 

お金を貸していることはオープンにしているわけではないが、

講師の間で情報が出回っているらしい。

頼まれる頻度が増えてきた。

 

アクティブに教えている講師に限って言えば、今のところは返済率100%。

取り立てをしたこともないけど、黙っていても向こうから返してくる。

だから「ま、いっか」と思って貸している。

 

しかし貸しながら、

「なんで貯金しないんだろう?」

「Happy go luckyすぎて、お金稼いだはなから全て使っちゃうのかな?」

「うちのトップ・パフォーマーの講師ですらもそうなのかな?」

 

でも昨日妻と話していて、実は違うんだと気づいた。

 

・フィリピンでも医療費とか、先進国並みに高いものはいくらでもある

・その前では、少々の貯金などは全て吹っ飛ぶ

・フィリピン人は家族を大事にするので、家族の不幸に際し、持っているだけ全部出す。

・しかも家族の定義が広い。少なくともいとこは家族に含まれる。

・そうすると、ふとしたきっかけで簡単にお金はなくなる。

・誰かに頼む。お金を貸してくれそうな人に。

 

日本だと、お金を貸すときが縁の切れ目だとよく言われる。

しかしフィリピンでは100%帰ってくる。

これも、同じ理由からなのだろう。

 

・困った時に助けてくれるのは家族。

・家族が困った時にお金を貸してくれた人も家族みたいなもん

・家族に対しては責任を果たさなきゃ。借りたお金は返さなきゃ。

 

世界の文化は、下記のように二つに分けることができる。

・初対面でも付き合いやすいが、真に仲良くなるのは難しい、ピーチ型

・初対面では付き合いづらいが、いったん仲良くなるととことん受け入れてもらえる、ココナツ型。

 

日本人は典型的なココナツ型で、フィリピン人は典型的なピーチ型だと思う。

ピーチの硬い種を割って中に入れるかどうか。

 

「お金を貸して」と言ってもらえるのは光栄なことだと自分に言い聞かせながら、

今日もまたお金を貸している。

 

(注、貸したいわけではありませんので、フィリピン人に英訳してこの話は伝えないようにお願いします!)

「量子力学で生命の謎を解く」「世紀の空売り」「ウィルスは生きている」

知識欲、学習欲で生きている、そこのあなたにオススメの3冊。

 

「量子力学で生命の謎を解く」


 

科学雑誌Newtonなどで、量子力学特集はさんざん読んだけれど、イマイチよくわからなかった。そんな自分にさえも、テキストだけで量子力学からわかる(ような気にさせてくれる)、この本の表現力はスゴいと思う。

 

 

「世紀の空売り」

 

 

リーマンショック、サブプライム危機について、ようやく理解できるようになった本。

「米国の不動産ローンだけで、なぜ世界中が不景気になったのか?」「なぜ最近になり、ゴールドマンサックスとか東京三菱UFJが自己資本を手厚くしなくちゃいけなくなったのか?」世界が熱狂そして絶望に包まれる中、大儲けできた人たちはなぜ冷静を保ち続けることができたのか? そんなことが学べる本。

 

 

 

「ウィルスは生きている」

 

 

「太古の地球で、化学物質から生命に進化したのだとしたら、その境目はなんだったのだろう?」 「手洗いはノロウィルスには無効なのに、インフルエンザウィルスには有効なのはなぜだろう?」 「親子間の突然変異が進化なのだとしたら、一時期に様々な種が爆発的に進化するのはなぜなのだろう?」 そんな疑問に応える本。

プロジェクト憲章など、準備に時間をかければ遂行がラクになる

今月から、日本・フィリピン横断で、経営企画プロジェクトを走らせることになった。

1年間かけて、会社の中を見える化する。

部門や階層やオフィスが違えど、言っていることをさらにかみ合わせにいく。

一つの方向性に向かって、講師を含む全グループで一丸となる。

こういうプロジェクトだ。

そして僕が、プロジェクト・オーナーである。

(プロジェクト・マネジャーのいわゆる上司に相当する。)

 

ただ、レアジョブはベンチャー。

リソースが潤沢にあるわけではない。

 

だからしっかりとプロジェクトの計画を立てた。

より正確に言うと、計画の前提をつくった。

この計画の前提のことを、「プロジェクト憲章」と呼ぶ。

PIMBOKという、世界的なプロジェクト・マネジメントでの用語だ。

 

それで、今日のそのプロジェクトのキックオフがあった。

キックオフのミーティングに、プロジェクト憲章を間に合わせるべく、

アレヤコレヤ考えていたり作業したりしていたら、

昨晩、ほぼ徹夜してしまっていた。。。

 

(徹夜は生産性よろしくないので、かなり久しぶりな徹夜となった。)

 

そして今日、プロジェクトのキックオフ・ミーティングを迎えた。

集まったチームはなぜかインターナショナルで、

アフリカ、中国、フィリピン、日本で働いたことのある面々。

僕が提出した「プロジェクト憲章」にさっそく突っ込みが入る。

 

「もう少しヒアリングに時間をかけて、課題抽出からやったほうが、

 的外れになるリスクを避けられるのではないか?」

 

確かにその通りだね、ということになり、

ヒアリングに1ヶ月かけ、所定の成果物を作成することになった。

その分他のマイルストーンは、

1ヶ月遅らせたり、後の部分で吸収したりすることになった。

 

うれしかったのは、

以上のような議論や変更が、とてもスムーズにできたこと。

 

それは、プロジェクト憲章によって、

プロジェクトの計画(の前提)が全て文字化されていたからだ。

 

「なぜこのプロジェクトをやるのか?」

「何の数値を上げるのが目標なのか?」

「プロジェクトの狙いは何か? 何はする必要がないのか?」

「リスクは何で、どう対処するつもりなのか?」

「ステークホルダーは誰で、どういう関心を持っているのか?」

「プロジェクトに変更があったときは、誰がどう議事録を取り、どこに上げるのか?」

 

以上が全参加者に共有されているので、議論がとても簡単に済む。

プロジェクト・マネジャーやリーダーやメンバーが自走できる。

 

「プロジェクト憲章あると、プロジェクト、超ラクだな」 とさえ思える。

ビジネスにおける議論の半分以上は、

前提の共有が不十分だからやっているように思える。

 

世の中には、プロジェクト・オーナーに相当する人たちがたくさんいるが、

思うようにいかないプロジェクトに四苦八苦している時間があったら、

プロジェクト憲章の書き方を覚えるのがよいと思う。

中国4.0 暴発する中華帝国 (エドワード・ルトワック)

昨日読んだ本が面白かったのでシェア。

中国4.0 暴発する中華帝国 (エドワード・ルトワック)


題名はネトウヨを連想しますが、内容はいたって硬派な戦略論。
大国中国の脇で日本は戦略を持つべきではないという結論に達し、
読後にはなぜかロシアのことが好きになるという、

不思議な本です。